断片的美しさ

断片は常に美しい。目的も、用途も、善悪も不明な断片は常に美しいのです。人の手の入らない自然が常に美しいようにです。抽象的な美しさもこの断片の美に似ています。絵画のストーリーを離れて、目的も、用途も、善悪もなく制作された作品は第二の自然のように美しいのです。この抽象画の美しさに気づく人は周囲にある数多の断片の美にも気づいているでしょう。世界は美に満ちている、あらゆる断片に満ちているのです。枯れ葉のねじれた形の美しさ、色の落ち着き、鳥の羽の優雅さ、ドラマティックなトカゲの尻尾、宝石のように輝く割れたガラスの破片、たんぽぽの綿毛や落ちた花びら、無数にある美です。そうした様々な美がありながらあえてそのような美を創り出すのはなぜなのでしょうか。実のところ美はそれらのものにあるのではなく、目的意識から一時開放してくれる、心の切り替えにあるのでしょう。本当になんの目的意識もなければ作品には触れません。抽象画には鑑賞しようという目的意識がなければ触れることはないでしょう。純粋に抽象的な作品は、環境の一部、完全な自然物として受け取られるでしょうから、絵画とは別の次元に存在することになります。

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